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マミー大会 [思い出]

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小学校5年生。
あるアニメのプラモデルが僕らの小学校で流行った。とにかく流行った。
バンダイという玩具メーカーから発売されていたそのプラモデルは、
当時は知らなかったが日本全国の子供を魅了し、売れに売れた。
その名は機動戦士ガンダムのプラモデル、ガンプラである。

現在僕は並んで物を買うのが大キライである。
それは食べ物でも同じで、お腹を空かせて列に並び順番を待ち、
さんざん待った挙げ句、激混みの店内で肘があたらないように注意して、なんてまっぴらだ。
空いてる松屋でいいっす。
ただ好奇心だけはあるので、何年か前に一度話題のドーナツショップの列に並んだ事がある。
テレビなどでも話題になり確か一時間近く並んだと思う。
人々がこれだけ待たされても食べたいというドーナツはどれだけ美味しいのだろう。
期待というより好奇心に胸を膨らませ、僕はドーナツを食べた。
「・・・・・・・・・・。」
好奇心は疑問へと変わる。
スーパーで売っている3つで120円くらいのドーナツとあまり違いを感じなかった。というか、
当たり前だがドーナツの味である。それ以上でも以下でもなく。
何故に人々は行列をつくり、人気店などというものがあるのか。
人気というものは不思議なもので、以外と中身を問われない事も多い。
頭の良い人はそれをよく知っていて、
人々がその中身の無さに気付く時には、とっくに次の空っぽプロジェクトに移行していたりする。

今ではそんな理屈っぽい僕も、並びました、ガンプラ買いに。(笑)
クラスの友達がどこからか情報を仕入れてくる。
その情報を元にして僕らはガンプラを買いに行く。
東へ西へ隣町へ、ガンプラが買えるところ、どこへでも。(笑)
一番記憶に残っているのが、ある冬の日曜日朝5:30に東急のプラモ屋にガンプラ入荷の情報。
かなりの大量入荷との情報だったので小遣いを握りしめ、激寒の東急前5:30に列に並ぶ。
何が入荷してくるのかワクワクした気持ちで待っていた。
グフだろうかシャアザクだろうかそんなことをクラスの友達と話しながら。
が、買えたのは144/1のガンキヤノン一つ。大量入荷ってガンキヤノンだけかよ(笑)
それでも皆ガンキヤノンを買って、ブーブー文句を言いながら帰った。
ガンプラという文化の存在を知らないとイマイチおかしみが伝わらないかとおもいますが・・・・。
そんなガンプラブームの中、近くの商店街に小さなプラモデル屋がオープン。
その名はマミー。
マミーは小さいながらもマメな入荷で僕のガンプラコレクションに多大な貢献をしてくれた。
ガンダムなどは144/1、100/1、60/1と意味なく3つ持っていたり、
当時バンダイから発売されていたガンプラはほぼ全部持っていた気がする。
マミーは家からも近く、店のおじさんも優しい人で
当時必ずクラス友達との会話にマミーの事が出ていたと思う。
今日、学校終わったらマミーで待ち合わせな、みたいな。
そんなマミーで年に一度、店内の商品を全て片付けて、
僕らが作ったプラモデルを展示、という日がある。
その名もマミー大会。
優勝、準優勝、佳作、参加賞みたいなタイトル争いもあって、
優勝者には当時これまた流行っていたゲームウォッチ+多数のプラモデルという
小学生からしたら夢のような豪華景品がもらえる。
時は昭和56年、裕福で物に溢れている現在と違い、夢のようなという形容がピッタリな感じ。
プラモ小僧の僕としては当然、参戦を表明。
このブログ「ルーツ」にも登場した
同じくプラモ小僧のタクジとタッグを組み、ジオラマ制作に取りかかる。

ジオラマは僕とタクジが一体づつ作ったプラモを、
50センチ四方くらいの発泡スチロールの板の上に配置し、
戦闘の後の廃墟な雰囲気をつくるコンセプトのもと制作開始。
僕はジオング、タクジのはどうしても思い出せないのだが
確かザブングルのシリーズの何かだったと思う。
ガンプラではなくミスマッチのプラモを組み合わせた記憶があるからだ
タクジのお父さんは粋な人で、オーディオや模型を趣味とし、
エアーガン(塗装用の道具の方)なんかの本格的な道具も所有していた。
モデルガンなんかもオートマグナムやワルサー等、ズシッと重いかっこいいのがあったなぁ。
ちょっと繊細な感じのする寡黙なお父さんで、
タクジと三人でアメフトのボールで日曜日、パス回しなんかやった記憶がある。
十年程前に亡くなられたと聞いた時は、タクジのお父さんが投げる、
キレイに回転して飛んでくるアメフトのボールが思い出された。
タクジはそんなお父さんの血をひいてか、繊細な筆使いで細かい塗りは僕より一枚上手だった。
後述するが、この次のマミー大会の時にタクジが作った、
タミヤなんかが出していたコンバットフィギアの手をいったん切断、
その後肘の角度を変えてガーゼで作った三角巾に血をにじませ、
手を吊った負傷兵を見た時は本当に感動した。
そのアイデア&技術!
僕はといえばプラモの方でもヤッパリ自己流で、
模型雑誌なんかに載っている高等なテクニックは苦手だった。
僕が得意としていたのは、ウェザリングという技法で、
塗装した後に汚れや質感を出すために更に塗りを重ねるというもの。
特にガンプラなんかの金属な感じを出すのが得意中の得意で、
専用の筆を独自に作ってちょっとした企業秘密だった(笑)。
そんな感じで出来上がった2体のプラモをベースの上に置き、
大会締め切り前日ジオラマを預かった僕は、仕上がりをチェックしていた。
ベースにはパウダーなんかを振ってそれなりに感じは出ていたのだが、
もう一押し何か!が欲しかった。
そこで僕は自宅近くに生えているコケのような葉っぱのようなものを
土ごとひっぺがしてベースに置くという離れワザを思いついて実行した。
やってみるとなかなかの迫力。これで決まり。
翌日大会の締め切りの日、タクジにそれを見せるとタクジはやりすぎではとシブい顔。
ただ締め切り当日という事もあり、結局そのままマミーへジオラマを持っていった。

大会は確かクリスマスだったと思う。
僕はタクジと待ち合わせてマミーへ。
店に近づくと、商品棚に沢山のプラモ作品が展示してあるのが見える。
期待を胸に店内へ。
真っ先に僕らの作品を探す。
すると…
なんと僕らのジオラマには名前と共に
「優勝」のタグが!
習っていた剣道の大会で優勝した時よりも、マラソン大会で4位になった時よりもはるかに嬉しかった。(笑)
マミーのおじさんにおめでとうを言ってもらい賞品を受け取る。
おじさん曰く、準優勝になった作品と最後まで迷ったのだが
決め手となったのは僕が最後の最後で土ごと引っぺがして置いたコケのようなもの。
このアイディアは面白い、という事だったそうだ。
正直、プラモの方のウエザリングの評価ではなく、そこか~
とちょっとガクッときたのを覚えているが、っま怪我の功名、結果オーライということで。
賞品はゲームウォッチを僕、多数のプラモデルをタクジ という風に分け合った。

その次の年のマミー大会。
僕らは前年のチャンピオンとして連覇を狙うべく、
またしてもジオラマ制作に取り掛かった。
小学生の一年というものは今とは成長の早さが違う。
伸びるのは背丈だけじゃないぜ、とばかりに前述したタミヤのコンバットフィギアを
使用した、ミリタリージオラマで勝負をかけた。
タミヤのコンバットシリーズはとにかくリアルで、兵士が持っている付属品なども
本当に細かく、6年生になった僕らには挑戦しがいのあるプラモだった。
ジオラマは無線機に向かう通信兵と、雑談する将校たち、
そして装甲車と周りを囲む兵士達、という感じだったと思う。
僕はジオラマベースと、無線機の通信兵、将校達が担当。
タクジは装甲車と兵士達の担当となり、時には僕のうちで、時にはタクジのうちで
時にはお互い1人1人でとかなり真剣に制作に取り組んだ。
そして完成。
川なども作って、僕らとしては最高傑作 優勝間違いなしっ! と意気揚々
2人でジオラマをマミーへ持っていった。

結局その年のマミー大会は準優勝。
マミーのおじさん曰く
作品が完成されすぎ、明らかに優勝を狙いにきているのが鼻についた、
とのこと。
それはそのまま図星だったので、少しギクッとした気がする。
作品としては5年生の時より遥かに自信作だっただけにくやしかったなぁ。

今振り返ってみると何気にいい少年時代を送っていたな、などと思ってしまう。
トモダチと力を合わせ何かをつくり、それが評価され、
欲しいと熱望していた賞品までもらえるなんて。
これ40近くなった今でも変わらず大好きなことなんだよな。
人がお互いを素直に尊敬しあい、特性、個性を生かし合い
同じ目的を持って進んで行くということは人間の生としての本質だと思うのですよ。
そんな経験を幼い頃にさせてくれたタクジやマミーのおじさんにも感謝だな。
意外とこの辺は理屈でなく体で覚えています。

たまに実家に泊まる時など
その次の朝、よく通っていた小学校やその近辺を散歩する。
中が良かった友人の家の前、よく遊んだ公園。
マミーがあった商店街には同じクラスの友達のお店もあった。
魚屋さんと雑貨屋さん。
魚屋さんはパーマ屋さんへ、雑貨屋さんはなんかの会社へ、
そしてマミーがあったところはパブみたいな店になっていた。
30年近く前の話。
なつかしいなぁ~。
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